Science webサイトの研究紹介の和訳。

 元の記事はこちら(リンク先、虫画像あり)⇒
  Most worker ants are slackers

 また、論文はこちら⇒
  Workers ‘specialized’ on inactivity: Behavioral consistency of inactive workers and their role in task allocation

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 アリやハチは素晴らしいチームワークを持つ昆虫として知られている。
 中でも、北米の松林に生息する小さな茶色いアリであるTemnothorax rugatulusは食料調達や巣の建造、幼虫の世話などにそれぞれ特化した働きアリが存在し、「分業制」のアリとして有名である。
 
 しかし、最新の研究で明らかになったところによると、巣の中にいる多くのアリが「全く何もしない」ことに特化しているとのことだ。

 アリがどうやって日々を過ごしているのか詳しく観てみるために、研究者は研究室で飼っている5つのアリの巣について、それぞれ住んでいる全てのアリに絵の具で印をつけてみた。
 そして2週間以上の間、1日6回高感度カメラにより5分おきにアリの行動を記録した。

 すると、71.9%のアリが最低でも観察時間の半分以上、そして25.1%のアリが全く、それぞれ働いている様子が観察されなかったのだ。
 巣の構成員の中のほんの一部、たった2.6%のアリだけが観察している間ずっと働き続けていた
 
 この研究成果は先月のBehavioral Ecology and Sociobiology誌に掲載された。

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 従来の研究では、「働かないアリは一時的に働かないに過ぎず、一日周期でシフト制になっているのだ」と仮説を立てていたが、この研究によって怠けアリは一日を通して働かないことが分かった。

 研究チームによると、怠けアリは単に仕事の間に休息しているわけではなく、おそらく怠けること自体がアリの分業の上で重要な働きを持つ可能性を指摘した。
それがどのような働きであるのかは不明瞭であるが、一つの仮説としては働くには若すぎるアリや年を取りすぎたアリが「働かないアリ」となっているのではないかと考えられている。

 また、長い期間でアリを観察する研究を行なえば、「忙しいアリ」と「怠けアリ」が交代するような様子が観察できるかもしれない。

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以上です