ただのニュースの揚げ足取り

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 絶滅したはずが…九州で熊のような生物の目撃情報が相次ぐ
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 九州でここ数日のあいだクマ(のような生き物)の目撃例が多発しているというニュース。
 「福岡市動物園によると、九州では1960年代以降、クマの生息は確認されておらず、絶滅したとされている。」という箇所について調べてみた。

 まず、こちらの文献によると、
 「本州,四国,および九州にツキノワグマが生息している.」
とある。

 しかし、こちらの調査では九州地方においてクマ類の生息は確認されなかったとしている。

 さらに、九州において20世紀半ばにクマが絶滅した論説の根拠としてこちらの文献では、大井徹『ツキノワグマ‐クマと森の生物学‐』を引いている(ただし、self-citationである)。


 却って、1960年以降に九州地方でクマが確認された例としては、九州で最後に捕獲されたツキノワグマの起源 という論文の記述によれば、1987年に大分県で捕獲された例があるとのことである。

 ただし、このツキノワグマに関してはDNA解析により、東日本から何らかの形で移入されたものの可能性が高いと筆者らは結論付けている。
 しかし同時に、腸内の大腸菌叢からは、ある程度の期間野生生活を行っていたことも推測されている。

 その点において筆者らは、東日本から輸送されたツキノワグマが何らかの手段で脱走し、それ以降数世代にわたり九州で野生生活をしてきた可能性が高いと結論付けている。

 今回、目撃されたクマ(のような個体)においてもこの1987年に捕獲されたクマの子孫である可能性はないだろうか。