こちらのtogetterまとめを読んで思ったことと、本件の問題点。
NF-κBp50 欠損マウスに関する部分のみを取り上げます。

HPVV報道のNF-κBp50 欠損マウスの解説

※ご指導、ご指摘のほど、よろしくお願いいたします。
①本件の概要

 NF-κBという遺伝子を不活性化したマウスにインフルエンザワクチンB型肝炎ワクチン子宮頸がんワクチンをそれぞれ投与したところ
子宮頸がんワクチンを投与した個体において特異的に (1)マウス海馬への抗体沈着が見られた。また、(2)この抗体はヒト海馬に対しても沈着した。
 病理の面からは(3)マウスの末梢神経に異常が見られた。
(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000116634.pdfより)



②私見

(1)(3)in vivo(マウスを使った実験)で、(2)は細胞に直接(1)のマウスの血清を振りかけた実験であるかと思います。
もっとも、ちゃんとしたメソッドが見当たらないので、”おそらくそうじゃないか”レベルではありますが。
(1)の実験はマウス血清を直接組織に添加したわけではないですよね?)

上記togetterのコメントを見てみると、本検討に関して「NF-κB不活性化マウスを用いる実験は不自然だ」という点からの批判が数点見受けられますが、これ自体は後述のように問題ではありません。
ノックアウトマウスを用いた実験なんて、星の数ほどあります。

また、「HPVVの副作用かNF-κB欠損の影響かわからないじゃないか」という点に関しても、(ポジコンはないにせよ)上述のように他の対照群、ならびネガコン(PBS)をとっている以上、問題はないかと思います。
では、何が問題になるのか。以下に記します。



③問題点

本件の問題点として挙げられるものを一言でいうなら、”メディアの報道”であると思います。
こちらのニュースサイトでは、本研究に関して「子宮頸がんワクチン副反応「脳に障害」 国研究班発表」という表題をつけています。

これは大きな誤りです。

NF-κB欠損マウスは人為的に作られた”不自然な個体”であって、そのマウスで影響が出たからといって人間でも同様の影響が出るわけではありません。
それを一足飛びに副作用に結びつけるのは、「犬にとってタマネギは害だから人間にとっても害である」と言っているようなものです。

本研究はあくまで、メカニズム解明のための研究であって、本研究で明らかとなることは「NF-κBに関与する何かしらが生態影響の引き金になりうる」といった以上のことではないでしょう。



以上です。
togetterまとめにもありましたように、研究戦略に関しては疑義のある点もありますが、NF-κB欠損マウスを取り上げて批難するのは的外れじゃないかと思い、本記事を作成いたしました。
まだまだ勉強中の身の上ですので、誤り等ありましたらご指摘のほどよろしくお願いいたします。