こんにちは。
気になったニュースがあったので少し調べてみました。
使い捨てカイロが云々という部分については正直どうでもよいのですが、記事中では以下が主張されています。


⓵鉄イオンの溶出によって硫化水素やメチルメルカプタンによる悪臭を抑える
②リン酸は「リン酸鉄」に変化して沈殿する
③光合成細菌による光合成が活性化される


まあ、細かいところで「鉄は地球上で最も多い元素」⇒核を含めれば正しいものの、地殻ではそれほどでもないし、海水中成分と考えるとさらに少ない とかもありますが、割愛。

なお、記事中で出てきたGo Green Cubeはこちらの特許を使っているものかと思います。


⓵②について

記事中でも共同研究者として挙がっていた方の上記論文辺りで報告されています。

 ヘドロそのものへの作用ではなく、ヘドロから産生された悪臭成分の除去に関するものです。
 電離した硫化水素イオンやリン酸イオンとFeが結合して難溶性の鉄化合物が生成されるという、海洋ヘドロに対する量的な疑義はあるものの、原理は理解しやすいものかと思います。

③について

 これについては、どこでデータが出ているのか不明瞭でした。
 共同研究者の鉄イオン溶出体投入によるヘドロ中真正細菌の変化(pdfへリンク)で磁性細菌の増加が認められたことから主張しているのかなとも思いましたが、そうだとした場合論文中で言及されていないことに違和感があります。
 また、一般的な話として光合成細菌が鉄を要求することを指しているのかとも思いましたが、それにしては増加を断言しすぎている気もします(参考)。



個人的な感想としては、量的な議論は置いておいたとしても、
ヘドロによる水質汚濁改善には有用かもしれないが、ヘドロそのものの除去に有益か否かは少し眉唾かなと感じました。

 過去には鉄鋼スラグでヘドロを除去するような話もありましたが、あれで目的とされたのはスラグ中のCaOやCa2Siであって、Feの作用はオマケ程度だったようです(参考)。


 最後に、Feの添加による海洋生物への影響について言及しているツイートも散見されたので、そちらについても参考資料を置いておきます。
といっても、先に挙げた(類似研究)中で言及されています。
そちらの論文中では、鉄イオン供給源として純鉄粉を用いているという差異はあれど、彼らの検討したレベルにおいては底生動物の出現頻度に差は認められなかったとのことです。


とりあえず、以上です。