メモ程度に。

まず、オミクロン株のスパイクタンパク質には次の変異が確認されています。

:K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H

キャプチャ



ここで、過去に、デルタ株に人為的に変異を4か所入れて感染力がどうなるかを試した研究があります。(biorxiv)

この研究で面白いのが、4か所変異のデルタ株(以下D4株)を、ファイザーワクチンを打った人の血清と混ぜた後に細胞に添加すると、ウイルスだけを添加した時よりも感染力が増大するってところです。
キャプチャ1

この赤線がD4株で、値が0以下になっている点では中和活性がマイナスの値(混ぜてた方がウイルスの活性が上がっている)ことを示しています。また、横軸は混ぜた血清の濃度です。

当然ですが、ワクチン接種者の血清中には抗体が含まれているので、
これと標的のウイルスを混ぜて細胞に添加した場合は、細胞への感染が抑制されるため中和活性はプラスの値になります。(抗原(を有するウイルス)を抗体で中和する)

また、各グラフのPFZ1-20ってのは、20人の血清をそれぞれ試験にかけたってことですね。


さて、ここで気になるのが、このD4株に入れられた変異箇所。
以下のようになっています。
 K417N, N439K, E484K, N501Y


冒頭のオミクロン株と比べると、
K417N, N440K, G446S, S477N, T478K, E484A, Q493K, G496S, Q498R, N501Y, Y505H
K417N, N439K, E484K, N501Y

2か所に同じ変異が入っており、1か所は入っているアミノ酸は違うものの、同じ場所に変異が入っているということになります。

「これは大変だ。オミクロン株は、通常とは逆にワクチン接種者にかかりやすいウイルスになっているかもしれない!」

ということで騒がれているのかと思います。



所感としては、
そもそもD4株で入れていた変異というのもデルタ株でよく見られた変異を4つ入れたものっぽいので、本当にこの変異がワクチン接種者に対して効果的に感染するんであれば、変異が定着するスピードが遅いかなあと。専門家でもないのでわかりませんが。

また、中和活性がマイナスになるメカニズムも不明なわけなので、何とも言えないなあと。

いずれにしても、変異の場所や変異数が多いため、ファイザーに限らずワクチンの抗原からズレていることは考えられるので、ワクチンが効かない程度は十分にあり得るんじゃないですかね。

まあ、こんなところで。